懐話§昭和三十年代~駅舎らしい駅舎~

[承前]

鉄道駅の顔が見えない。特に東京のような都会において駅舎の喪失は
顕著で、特に大規模なターミナル駅になればなるほど“駅”は駅ビル
と化して、ランドマークとはなり得ないのだ。

例えば新宿、例えば池袋あたりが一目瞭然で、どちらの東口も西口も
デパートやショッピングセンターの中に埋もれてしまっている。建物
の壁面に新宿駅とか池袋駅と書かれていることで、辛うじてそこが駅
だとわかるが、そうでなければわかりようがない。

そういう風に思うのは、暮らしていた生まれ故郷のかつてあった駅舎
をもって、ランドマークと認識していたからである。田舎にあったの
は旧国鉄と小さな私鉄の駅で、下は私鉄の始発駅で1928年に建造され
た、いまだ現役の駅舎で、10年前には国の登録有形文化財となった。

画像

旧国鉄のかつてあった駅舎も、写真のこれを大きくしたようなもので
我々の世代が言うところの駅舎とはこれなのだ……と、我々は思って
いるのだが、もっと若い世代がイメージする駅は、特に都会の若者に
とって“ビルのそれ”でしかなく、彼我のイメージの乖離は大きいも
のがあるのだろう。
                            [続く]

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