雅話§百人一首考[82]~おもひわび~

[承前]

道因法師(どういんほうし)

思ひわび さても命は あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり


死にそうになるほどの恋心を持つ人がどれほどいるものかと思うが、
それは半端ないエネルギーということなのだ。

この歌を詠んだ道因法師は、平安時代後期の人としては稀に長生きで
92歳まで生きたのだが、その事実は彼に内在するエネルギーのほどを
具現化していると驚かされるのである。

この人は間違いなく、晩年まで恋愛に対して執着し続けた何かを持ち
合わせていて、だからこそ今に生きる我々であっても心動かされそう
になる歌を物することができたのだ。

彼にとって、恋とは“生きる術”であったのかもしれず、それが彼の
長寿を支えたのかもしれない。
                            [続く]

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