訣話§ギエム~ライフ・イン・プログレス~

シルヴィ・ギエムの引退公演『ライフ・イン・プログレス』最終日に
行ってきた。プログラムは以下のとおり。

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『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』
振付:ウィリアム・フォーサイス
東京バレエ団

『ドリーム・タイム』
振付・演出:イリ・キリアン
東京バレエ団

************************休憩************************

『テクネ』
振付:アクラム・カーン
シルヴィ・ギエム

『デュオ2015』
振付:ウィリアム・フォーサイス
ブリーゲル・ジョカ、ライリー・ワッツ

『ヒア・アンド・アフター』
振付・演出:ラッセル・マリファント  
シルヴィ・ギエム、エマヌエラ・モンタナーリ

************************休憩************************

『バイ』
振付:マッツ・エック
シルヴィ・ギエム

フォーサイスの“イン・ザ・ミドル”を東京バレエ団が初演したが、
いつ観ても刺激的なダンスである。ただし、パリ・オペラ座のメンバ
ーが踊った時に感じた乾燥した暴力性は希薄で、ウエットなしなやか
さを強く感じたのだ。

武満徹の音楽を使ったキリアンの『ドリーム・タイム』は、彼らしく
重力を感じさせない浮遊性の世界で、フォーサイスとの鮮やかな対比
を思い知らされた。

強烈な印象だったのは、これもフォーサイスの『デュオ2015』で、男
性ダンサー二人の関節の運動性に驚嘆させられたが、途中でギエムが
“突然に乱入”してきて二人に絡んだのだが、これはいかなる段取り
なのだったものか興味深いものがある。

と、ここまでの5演目が現代音楽だったり、電子音で構成されたもの
ばかりだったことにストレスを感じていたが、最後のマッツ・エック
の『バイ』は、ベートーヴェン最後のピアノ・ソナタ第32番終楽章を
イーヴォ・ポゴレリチの録音を使って振り付けられており、なじみの
ある音楽に安心しつつギエムの最後を見届けた。

それはまさに彼女からの惜別のメッセージで、公演タイトルの『ライ
フ・イン・プログレス』とはそぐわない印象は否めなかったけれど、
プログレスを進化とは訳さず“前進”と訳してしまえば、彼女自身の
未来に向けてという思いを感じることもできるのである。

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彼女を初めて観た1985年4月13日から30年……これほどに長く一人の
ダンサーを観続けることができるとは思わなかった。感謝しかない。

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