雅話§百人一首考[78]~あはぢしま~

[承前]

源兼昌(みなもとのかねまさ)

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に
いく夜寝覚めぬ 須磨の関守


人間、ちょっとしたことで寝られなくなることは珍しくもない。以前
部屋の中に、カネタタキというコオロギやスズムシの仲間が紛れ込ん
で夜中に“カン、カン……カン”と鳴かれ、夫婦して眠れなくなり、
とうとう起き出して音の発生源を追跡して見つけ、追い出したりした
ことがあった。



上はチドリの鳴き声だが“チーチーチー”と、か細いながらもかなり
はっきり聞こえてしまう質で、そりゃあ関守さんも眠れなくなってし
まったことであろう。

こういう鳴き声は、波の音の間隙を縫って届くのだ。波の音は日頃か
ら聞き慣れているから、子守唄として寝つくことはできるけれど、鳥
たちは気まぐれに鳴くから、何となく落ち着かない気分になるのだ。

そういえば我が家の周囲で、ヤマバトがよく鳴いているのだけれど、
リズムが実に規則的で、延々と……♩♪♩♪♩ ♩♪♩♪♩というシンコペ
ーションを繰り返すのである。同じヤマバトなのか別鳥なのかわから
ないが、もう1パターンで鳴くこともあり、鳥の無意識なリズム感覚
に感心する。

彼らが鳴くのは明け方以降なのでほどよく目覚めさせてくれるのだ。
                            [続く]

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