雅話§百人一首考[87]~むらさめの~

[承前]

寂蓮法師(じゃくれんほうし)

村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に
霧立ちのぼる 秋の夕暮れ


この歌も、下七七しか覚えがない……というよりは、明らかに“いず
こも同じ秋の夕暮れ”と混同しているとしか思えないレベルである。

秋の夕暮れという、どうということもないフレーズが、何か我々に語
りかけてくるような気がするのだけれど、ただ単に調子がいいだけの
ことかもしれない。

オーストリア・アルプスの端っこに滞在している時、その地域はヨー
ロッパには珍しく湿度多めだったりするのだが、雨上がりに樹林から
水蒸気が立ち上って、低くたなびく様子をしばしば眼にする。そんな
気象環境のおかげで、オーストリアで一番うまいチーズができるのだ
とは、地元の人から聞いた話である。
                            [続く]

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