板話§壽初春大歌舞伎昼の部千穐楽近く

今年初めての歌舞伎座は先週金曜日の昼の部だった。

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一つ目『廓三番叟』は三番叟を廓の中でという趣向。孝太郎の傾城、
種之助の新造、染五郎の太鼓持。正月のお約束である。

続いて『義経千本桜』の“鳥居前”は橋之助の忠信……姿は立派なの
だが、いま一つピントが合わないなあという役作り。意外にも、大根
と思い続けていた門之助の義経がよくなっていて、年齢によって役者
が作られるのだろいうことを感じた。

30分の休憩が終わり、お目当てである吉右衛門の『梶原平三誉石切』
が期待どおりの舞台で堪能した。歌舞伎を観始めてようやく15年にな
るというところだが、吉右衛門が円熟していく様をつぶさに見ること
のできた15年であるとも言えるのだ。

吉右衛門の大きさは、彼が演じる役の中に、様々な性格が微に入り細
を穿った描写されているて、知情意が一体になった爽やかな風格を感
じさせてくれる。今年が年男ということで、さてあと何回、彼の梶原
を観ることができるだろう。

ずうっと俣野五郎だった又五郎が大庭三郎を務め、息子歌昇が俣野五
郎を引き継いだ。梢は3月に雀右衛門を襲名する芝雀、歌六の六郎太
夫という安定の配役。

最後が『茨木』で、玉三郎の伯母真柴実は茨木童子に、松緑の渡辺源
次綱。最初に伯母真柴として登場した時の、老婆のつくりがずいぶん
極端だなあと感じた。老婆のおぼつかなさを際立たせるあまり、体の
力が抜けすぎたという印象……要するに覇気がないように感じた。役
者の工夫が客席の一人には伝わってこなかったということだろうか。

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