雅話§百人一首考[94]~みよしのの~

[承前]

参議雅経(さんぎまさつね)

み吉野の 山の秋風 さ夜更けて
ふるさと寒く 衣うつなり


砧という道具がある……正確にはあったと言うべきだろうか。その昔
皺になった布を叩いて伸ばす、アイロンなどなかった時代の道具であ
る。

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砧とはこんなものだと、ウィキペディアから引用しておくが、木槌で
石の上に置かれた布を叩く時の音は、どんなものなのだろうか。

冷たい秋風が吹き始める季節になると、家の中での仕事が増えるのは
言うまでもないことで、だから夜になるとあちこちの家から砧で布を
叩く音が聞こえてくるということだ。

“砧”という文字の持つ語感が、現代の我々に何がなし郷愁のような
ものを想像させるのである。
                            [続く]

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