雅話§百人一首考[95]~おほけなく~

[承前]

前大僧正慈円(さきのだいそうじょうじえん)

おほけなく うき世の民に おほふかな
わが立つ杣に 墨染の袖


十代で比叡山は延暦寺に出家した慈円が、二十代の頃に詠んだ一首で
ある。慈円は後に『愚管抄』を著した高僧なのだ。

戦続きで世情不安な世の中にあって、力不足ではあるが何とか浮世の
民を護ってやりたいものだとは、若気の至りと読めないこともないが
少しでも力になりたいという……そんな素直な心情は理解してやりた
いと思う。

もっとも、そんな延暦寺も僧兵が強大となっていった結果、戦国時代
には織田信長によって焼き討ちされてしまったわけだが。
                            [続く]

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