紫話§中村芝雀改め五代目中村雀右衛門

三月大歌舞伎で、京屋中村芝雀が五代目雀右衛門を襲名する。今日は
その3月歌舞伎座チケットの発売日である。

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父である四代目は名優であった。細々と歌舞伎座に通っていた20年く
らい前、ある日の幕見で『伽羅先代萩』を観た。あれやこれや詳しい
筋を知らずに観たのだが、何とも濃密でむせ返るような舞台に圧倒さ
れたのだった。

六代目歌右衛門の実演を一度も観る機会のなかった我が身にとって、
当時の雀右衛門は唯一で最高の立女形だったのだ。その後『助六』の
揚巻や『祇園祭礼信仰記』の雪姫に、円熟しきった雀右衛門を観るこ
とができたのである。

そんな名優の名跡を継ぐことになる芝雀だが、年齢的に雀右衛門を襲
名するのは元より文句のつけようなどない。父親のような妖艶さには
欠けるものの、下世話な役については手堅い舞台を見せているが、も
ちろん目標は三姫をとは、言うまでもない。

三月大歌舞伎の襲名狂言だが、昼の部は『鎌倉三代記』の時姫、夜の
部に前述した『祇園祭礼信仰記』の雪姫を務めることになっている。

なお余談だが、中退こそしたものの立教大学の出身で、同じ年に入学
をしている“同級生”である。もっともこちらは一浪しているので、
年齢は一歳上なのだけれど……あるいはキャンパスですれ違ったりし
ていたのは間違いのないところ。

追記:2014年に中村福助が七代目歌右衛門を襲名する予定だったが、
13年の秋に脳内出血で倒れて襲名披露が中止になった。いまだリハビ
リの途上にある。今年の10月には弟の橋之助が芝翫を襲名するので、
披露口上の舞台にいてくれればと願うのだが。


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