連話§ワタシの酒肴[90]おでん

[承前]

この冬、我が家でおでん鍋を囲んだのは1回しかない。おでんの具は
竹輪、こんにゃく、薩摩揚げ、厚揚げ、茹で卵、大根、つみれにはん
ぺんというものだが、ここまで入れたら鍋一杯になってしまうのだ。
それだけの具が入ったおかげで、それぞれからの出汁で大根や厚揚げ
に味わいが出てくれるのがうれしい。

我々夫婦は、おでんがなぜかご飯のおかずになってくれないという、
そんな嗜好を持ち合わせていて、酒を呑むこちらは酒肴の鏡といえる
あれやこれやをつまみながら呑み進められるが、同居人は、おでんで
お腹一杯にというわけにもいかないところが悩ましいところである。

そういえばと思うのは、おでんを商う居酒屋に行くことがないのだ。
それはちょっと不思議な話で、なぜというはっきりした理由が見当た
らないような気がしている。

……あえてというなら、おでん種だけにつまみが限定されるからかな
ということだが、それが正解とも思えない。要するに自分が好きでと
いうモチベーションで入る居酒屋におでんが置かれていないという、
そのあたりの単純な理由ということではなかろうか。

日本酒でおでんなどとは、お約束のシチュエーションなのだけれど。
                            [続く]

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