悼話§佐々木忠次さん(興行主)

日本舞台芸術振興会(NBS)、チャイコフスキー記念東京バレエ団の
代表者として、クラシックコンサートやオペラ、バレエの公演に辣腕
を振るった佐々木忠次(佐々忠)が亡くなった。

“日本のディアギレフ”とは、あながち大げさとは言えないくらいに
多くの優れた指揮者、演奏家、オーケストラ、歌劇場、バレエ団など
の招聘に力を注いだ。今の日本で唯一“インプレサリオ(興行主)”と
呼ぶことのできた人間であることは間違いのないところである。

クラシック関連における最大の功績は、カルロス・クライバーの来日
公演を、一度のキャンセルもなく呼び続けたことであることは言うま
でもない。

オペラ公演では、1987年ベルリン・ドイツオペラによる『ニーベルン
グの指環』通し上演を行ったことは最大のハイライトのひとつと言え
るだろう。

もちろん1994年に、カルロス・クライバーがウィーン国立歌劇場来日
公演で振った『ばらの騎士』は、その最大の頂点に位置するであろう
ことに何の疑いもない……あれこそが陶酔の極致だったのである。

バレエに眼を転じれば、自らが主宰する東京バレエ団公演だけではな
く、モーリス・ベジャール、ジョン・ノイマイヤーといった振付家と
そのバレエ団、パリ・オペラ座バレエ団、英国ロイヤル・バレエ団、
シュシュットガルト・バレエ団などで優れた上演を見せてくれた。

佐々忠は、彼自身の眼で優れた団体の優れた公演を見出して来日公演
を導いてきた。そんなところが、他の“呼び屋”とは一味も二味も違
うように思われ、彼が持ってくるものはハズレがないと、個人的には
信頼をしていたのだ。彼自身の強烈な個性による毀誉褒貶も少なくな
かったかれど、それ以上のものを提供し続けてきたのだ。享年八十三

合掌

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