夭話§この年でようやくシューベルト

シューベルトが“歌曲の王”だなどと思ったことなど毛頭ないのだけ
れど、ここにきて少しずつシューベルトが耳に入り込んできているの
がわかる。

ご多聞に漏れず、最初は未完成交響曲に始まって『冬の旅』『美しき
水車屋の娘』『白鳥の歌』までは進んだものの、その先をどう辿って
いくべきか、知識もなかったのだ。

そうこうしているうち、その次としてグレイト交響曲を、それはずい
ぶんみっちりと聴くことになった、そうしていくつかの弦楽四重奏曲
を聴き出し、ここに来てピアノ・ソナタにたどり着いた。もちろん、
あれもこれもと聴いているわけではなく、てきとうに選んだ数曲を聴
いているだけである。

これが、少しずつはまり込んできことに気がついた。特に最後のソナ
タ3曲がそれで、これはベートーヴェンの最後のソナタ3曲と並べて
も遜色のない、おもしろい音楽であることを思い知らされた。

ついぞ、シューベルトを歌の人だなどとばかり思い込んでいたが、と
りあえず、この3曲を聴くだけでも、実に奥の深い音楽を造形してい
ことに気づかされる。

考えてみれば、わずか30年の生涯に未完成を含めれば1000近い作品を
残している。それは、ベートーヴェンをはるかにしのいで、あるいは
ベートーヴェン以上の巨人ではなかっただろうかと思わされるのだ。

この先、そんなシューベルトの作品をどれくらい耳にすることができ
るか……老い先を考えると、少し急ぐ必要がありはしないだろうか。

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