連話§ワタシの酒肴[102]白身魚

[承前]

若い頃は長いこと“マグロ喰い”だった。少しずつ白身魚にシフトし
ていったのは何歳頃のことだっただろうか。

我が家近くにある鄙には稀な寿司屋へ通うようになって20年近く……
通いだした頃から白身魚も積極的に注文するようになったのだった。

とはいえ、寿司屋に行っても、せいぜいは平目や鰈といったあたりを
酒肴として切ってもらうていどでしかない。寿司屋のこととて時価に
なっているが、そうそう安い肴でないことくらいはわかるつもりだ。

白身を好んで食べるようになったということは、つまり歳を取ったと
いうことでもあるだろう。経年することで味覚は当然ながら鈍くなっ
てはいるだろうに、マグロのようなねっとりした味よりは、より繊細
な白身を食べるようになるとは、歳ということである。

白身の中でも、特にカワハギに執着があるような気がする。値段は、
平目あたりよりはお得だと思うし、味の繊細さも負けてはいないと思
う。それに、申し訳程度だけれど付いてくる肝がまたよろしいのだ。

というわけで、合わせるのはもちろん日本酒である。最初の1杯はビ
ールだけれども、刺身が届く頃には日本酒に切り換えている。さすが
の味音痴なれど、白身に日本酒という鉄板的な組み合わせには素直に
従うのである。
                            [続く]

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