懐話§昭和三十年代~洗濯~

[承前]

田舎町にあった我が実家に洗濯機がやってきたのは、昭和40年代前半
のことで、それまでは母親がせっせと手洗いをしていた。その頃は、
三軒長屋に共同井戸があって、そこでたらいと洗濯板を使って、春夏
秋冬一年中洗濯していたのである。

母親が洗濯してる頃は学校に行ってしまっていたので、詳しいことは
記憶にないけれど、50年前の服の生地が今のように軽やかであるはず
もなく、木綿のシャツでも厚ぼったかったりしていたから、それを洗
って、すすいで、絞って干すわけだ。

物干し場は井戸端にある小さな広場にあったので、たっぷりの陽射し
に当てていたが、どれほど乾いてくれたものかと思う。

その後、ようやく洗濯機になったわけだが、それも洗濯とすすぎのみ
で脱水機能のない単純なやつで、絞るのは洗濯機横に付いている2つ
のゴムローラーの間に通してやるものだったが、それでも手絞りする
よりははるかに効率はよかったのである。

実家は、なぜかわからぬが文明の利器導入が他の家よりも遅かった。
賑やかな町中という立地だったにもかかわらず、下水道が通じたのも
1970年前後のことだったし、ある意味でブラックホールのような存在
だった気がしないでもないのだ。
                            [続く]

《昭和のトピックス一覧》

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック