懐話§昭和三十年代~紙芝居~

[承前]

学校が終わった15時過ぎくらいだっただろうか、車が通らない路地裏
の空間に、紙芝居の自転車がやって来るのは。

子供が何人か集まると、二人くらいに効果音用の太鼓を持たせ町内を
回り、さらに子供を10人くらい集めたところで紙芝居が始まるのだ。

まずは5円とか10円くらいの駄菓子を“見物料”として買わせ、軽い
紙芝居を一本。その後に、クイズの紙芝居をやって当たった子供には
駄菓子を賞品にあげたり、薄くて固い型抜きの菓子で、うまく抜けた
らおまけがもらえるのだった。

最後にストーリー物で少し長めの一本でおしまい……滞在時間30分程
度だったと記憶している。何とも他愛なく安上がりな娯楽だったが、
まだまだテレビを持たない家庭も少なくなかった、そんな頃のお話。

自分たちが紙芝居世代の最後に近いところにいるのではないかと思う
のだが、どうだろう。記憶の限りでは昭和39年(1964年)の東京オリン
ピックを境にして紙芝居が我々の町から消えたような気がするのだ。

戦後の大きな象徴の一つだった紙芝居は昭和三十年代の終わりととも
に退場した……それはテレビとともに隆盛が始まった漫画雑誌の創刊
ラッシュとともリンクをしている。
                            [続く]

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