移話§熊蟄穴~七十二候~大雪

大雪の次候“熊蟄穴(くまあなにこもる)”である。

尾瀬に行ったのは去年9月だった。最終日に尾瀬ヶ原から裏燧林道を
経由して檜枝岐に向かって歩き始めたのは、早朝6時半過ぎのこと。

晩秋の装いとなった尾瀬の平日朝は、同じ方向に向かう登山者もいな
ければ、出会う人もない文字どおりの“単独行”となったのだ。

歩き始めて30分ほど、尾瀬ヶ原が終わるあたりの湿原奥のほうで動物
が動く音が聞こえた。思わず立ち止まって身構えたが、どうやら鹿だ
ったようでちょっと安心した。まだ少し先には温泉小屋もあるので、
大丈夫だとは思ったけれど、もしも熊だったら、どう対処しようかと
とりあえず頭の中でシミュレーションしたのである。

尾瀬あたりの熊は11月頃には冬眠に入るから、そろそろ体内に食料を
蓄える時期にもあたっていたのではないだろうか。それだけに、熊に
とっては大事な時季だったはずだから、当たり前だが遭遇しなければ
それに勝るものはなく、仮にもせよ遭遇したら、頭の中でシミュレー
ションすることなど、何の役にも立たないと心得るべきなのだ。

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