走話§十二月大歌舞伎第二部~勘九郎~

12月の歌舞伎座は三部制公演だった。客入りを考えての興行なのだろ
う。観に行ったのは先週火曜日の第二部。平日ということもあって、
3階席の入りは半分を超えたくらいか……師走ゆえ無理もないが。

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それに大歌舞伎と銘打ってはいるが、大歌舞伎の役者と言えるのは、
玉三郎くらいなもので、かなり無理があるといえばそのとおり。

第二部は15時開演で17時半過ぎ終演。二本立ての中身は『吹雪峠』と
菅原伝授手習鑑『寺子屋』は、中村勘九郎が松王丸初役なので、観て
おきたかったのだ。

宇野信夫作の『吹雪峠』は、30分ほどの短い演劇。駆け落ちして逃げ
まわっている男女と寝取られた男が、吹雪の中をたどり着いた峠の小
屋で遭遇し、そこで起こったことは……という一話。3人の役者が、
薄暗い舞台で演じられるのだが、どうにも退屈。逃げている男役の松
也が芝居になっておらず、全体のバランスもよくない。

休憩後は『寺子屋』寺入りからいろは送りまで。勘九郎の松王丸がい
い。幹部クラスと比較すればきりはないが、彼らしく、役を正面から
捉えて舞台にという姿勢が強く感じられる。父である十八代目勘三郎
の晩年に松王丸を演じるのを観たが、姿も含めて父以上の松王が演じ
られるようになるのではなかろうか。先々が楽しみである。

その他、梅枝の戸浪が古風な姿と落ち着いた台詞回しで安心して観る
ことができ、七之助の千代も一子小太郎への未練が表出されていた。
松也の源蔵は風吹峠に引き続き、芝居ができていない。何より体のバ
ランスが悪く見えるのは、腰高で据わっていないからではないか。

お客にしてみれば、2時間半ほどの上演時間は肩が凝ることもなくて
ありがたい……これで内容が伴えば文句はないのだけれど。

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