江話§上京日記[12]外食すること

[承前]

出費を抑えるために、朝晩の自炊はまじめにこなしていた。昼食だけ
は外食していたが、それも安い立食い蕎麦屋でそそくさと済ましてい
て、中には代々木にある某予備校の中の立食い蕎麦屋が、群を抜いて
安かったのはありがたかった。

それでも月に2回あった『題名のない音楽会』公開録画の時は外食せ
ざるを得ず、安く食べられる店を探すのに苦労したけれど、それでも
渋谷パルコのレストラン街には安い丼物の店があったりしたので、財
布には優しかったといえるだろう。

それと代々木駅前にあった洋食屋だったかには、400円でお釣りが
くるワンプレートのとんかつ定食がもあって、どうしても自炊できな
い時のお助けとして使わせてもらった。

月2万円の仕送りの中で、食費の占める割合は半分ほどに達していた
はずだから、贅沢に食事をするなどとは無縁の生活だったのである。

今でもスーパーマーケットで買い物をする時は、値段の比較をさり気
なくしている自分がいて、40年前に比べればそこまでする必要などは
ないのだけれど、同じような値段だったら安いほうを選んでしまいそ
うになるが、あの頃に培った感覚は今でも抜けてないようだ。
                            [続く]

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