石話§浅草歌舞伎~巳之助の又平~

あまり体調はよくなかったけれど、浅草歌舞伎を観てきた。

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『傾城反魂香』“土佐将監閑居の場”と『義経千本桜』“吉野山”の
2本で、11時に開演して14時過ぎには終演だったので、気楽な観劇。

歌舞伎役者としてスタートするのが遅かった巳之助で、気がついたら
父親に死なれていたという、ある意味では大きなハンデを背負っての
役者修業は大変なことだろう。

そんな巳之助の浮世又平(ども又)もまた、彼なりに工夫をしているこ
とが顕著に見て取れる。それはまた、彼にとっての大きな試行錯誤で
もあって、だからうまくいっているところと、失敗しているところと
あったりするのだ。

いい部分は、又平のひたむきさを正面から捉えて演じていることで、
そのストレートさは大きな武器と言えるだろう。もう少し工夫が必要
だろうと思ったのは、又平のどもった台詞回しが聞き取れなかったこ
とだった。

手水鉢に描いた自画像が反対側に抜け出たのを見た又平が女房おとく
に向かって「かか、抜けた!」という、肝腎な台詞だが、あそこまで
デフォルメせずともと思ったのだが、そのあたりの塩梅を見つけ出す
のもまた難しいことなのだろう。壱太郎のおとくは、そんな巳之助を
うまいこと支えての好演。

2本目“吉野山”は松也の忠信だが、今回もまた柄の大きさを生かし
切っておらず、退屈と感じた。体の芯が定まっていないからなのか、
きっぱりと決まってくれず、去年の義経千本桜『川連法眼館』に続い
て、今回も残念ながら消化不良……まだまだ時間が必要なのかもしれ
ない。

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