連話§ワタシの酒肴[114]佃煮

[承前]

時折だが佃煮が無性に食べたくなる。そんなタイミングで、年に一回
新春浅草歌舞伎を観に出かけた時、ホールの近くに一軒の佃煮屋が
店を出していて、そこで数種類の佃煮を買って帰ることにしている。

今回も去年と似たようなもので、アサリを甘辛く炊いたのと、辛い昆
布。同居人はそれに小女子クルミ、きゃらぶきと豆を買った。

同居人は、もっぱらご飯のおかずとしてだが、こちとらは酒に合うか
ということを基準に考えるので、甘辛いとかしょっぱくて辛いとかで
選んでいる。

まあ、ご飯であろうが酒であろうが、素材をしっかりと濃い味に炊い
ているわけで、食は進むし酒もうまいのは当然のことだ。

子供の頃は、そういう味のことなど理解できたはずもなかったから、
何となく奇妙な食べ物だという認識があったのは無理もない。だが、
今や呑み助の域にある身にしてみれば、アサリの佃煮が5、6粒もあ
るなら、それだけで一合の酒をやっつけるなど造作もない。

そんな凝縮された味わいの存在が佃煮なわけだが、これが意外と値段
が高かったりする。浅草で5種類を買った時も、野口君を3人ほども
引っ張り出さなくてはならなかったのである。
                            [続く]

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