週話§土曜片々~岡田博美のピアノ~

武蔵野市民文化会館リニューアル後初の小ホールでのリサイタルに行
ってきた。大ホールは4月のベートーヴェン交響曲演奏会で体験済。

というわけで岡田博美ピアノ・リサイタルを聴いたのは6月8日のこ
とである。

ピエルネ:パッサカリア Op.52
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番 C-Dur Op.53
『ワルトシュタイン』

*******************休憩*******************

マラフスキ:ミニチュア
ドビュッシー:子供の領分
リスト:ドン・ジョヴァンニの回想

[聴かずに帰ったアンコール]
ダカン:かっこう
ショパン:革命のエチュード
ドビュッシー:月の光

うーん……音は大きいし、テクニックも目を見張るものはあるが、表
現が平板と感じた。よかったのは、それぞれ初めて聴いたピエルネと
マラフスキの小品2曲。特にピエルネのパッサカリアのラスト近くの
右手と左手の音のやり取りに少々だが度肝を抜かれた。

だが、ベートーヴェンの『ワルトシュタイン』は単調な演奏に終始。
ガンガン叩けばいいってものではないんだけれど。というか、そもそ
もこんなベートーヴェンは聴きたくないのだが。

ドビュッシーもまた、音楽が生きていない。音符をなぞって弾いてい
ると感じられるから、ドビュッシーに寄り添いデリケートなニュアン
スを醸し出すわけでもない。終曲『ゴリウォーグのケークウォーク』
の諧謔味も見出すことはできなかった。

作曲家をどう捉えるかというよりも、楽譜をどう弾くかという意識が
勝ってしまっているのだ。つまり素材の持つ味を引き出すことなく、
岡田博美の味付けが優先されてしまっているような印象である。

このピアニストに欠けているのはもう一つ“チャーミング”な表現と
思ったのは、最後に弾かれたリスト『ドン・ジョヴァンニの回想』だ
った。

モーツァルトの原曲から『お手をどうぞ』と『シャンパンの歌』など
が使われていたが、そもそもリストのピアノ曲が苦手で共感できない
から、高度なテクニックを必要とする曲であることは理解できても、
何とも取り付く島のない演奏にげっそりして、本プログラムが終わっ
た後はそそくさとホールを後にしたのだ。

あまりに色気のない音楽と、彼が無表情に弾く様子を見ていて思い浮
かんだ単語は“他人事”だったのである。一度は聴いておこうと思っ
たピアニストだったが、この先に聴くことはないだろう。

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