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zoom RSS 愉話§オペラの幸福な時間[下]

<<   作成日時 : 2017/09/25 00:00   >>

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[承前]

オペラ引っ越し公演における最高最大の精華が、バイエルン国立歌劇
場の公演から20年後、1994年に行われたカルロス・クライバー指揮、
ウィーン国立歌劇場の『ばらの騎士』であることを否定できる人間は
いないだろう。

この時、東京文化会館で6回の公演が行われた。地元のウィーンでは
3回しか公演が行われず、口の悪い人の中には“東京公演のためのゲ
ネラルプローベ”と皮肉る人もいたくらいである。

最高席6万5千円というチケット代にもかかわらず、もちろんチケッ
トは発売と同時に完売。我々夫婦も、無事にチケットを確保して3回
出かけたが、それぞれの日がまた別の味わいでもって描かれた、かけ
がえのない瞬間を享受したのだった。

この公演を境に、世紀が変わる頃から引っ越し公演に黄昏を感じるよ
うになった。2002年、ベルリン国立歌劇場が『ニーベルングの指環』
通し上演を行ったが、それ以降は1回の来日で行われる演目数が徐々
に減って、3演目から今年のバイエルン国立歌劇場のように『タンホ
イザー』と『魔笛』の2演目とパワーダウンしている。

例えばと[上]で提示した1935年生まれの人は80歳を越えてしまった。
足繁く演奏会に通うこともなくなったことだろう。そうして隆盛を誇
ったオペラの引っ越し公演も少なくなってきていて、マリオ・デル・
モナコの『オテロ』から、ほぼ半世紀が過ぎた頃には外来公演の火が
ずいぶん細くなってきたようだ。

それについては様々な原因が考えられていて、まず第一にくるのは、
言うまでもなく高額なチケット代である。そのチケット代を支払って
きた世代が現役から退き、振り返ってみれば後に続くべき世代がいな
かった……現役世代にとって数万円もするようなオペラのチケットは
大きな負担でしかない。だから、引っ越し公演が多額の仕込み資金が
必要だということは理解しても、そのチケットを買ってオペラを観よ
うとまでは思わないのである。

我がオペラの時間は1980年のウィーン国立歌劇場に始まったが、およ
そ40年足らずで終息を迎えようとしている。年金生活者にとって、引
っ越し公演のチケットを買うことは論外に近く、最後に行ったのは、
2011年のバイエルン国立歌劇場で、それ以降は時折新国立劇場の公演
に行ったり、海外旅行の折にタイミングが合えば出かける程度でしか
なくなってしまったが、それでも十分に満足しているようだ。
                             [了]

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