夢話§将来を“設計”していたか

大学を卒業し、何とかそこそこの会社に就職して37年半勤めあげて、
61歳で定年退職した。世間一般で言うところの“逃げ切れた”のだと
言えるのだろうか。

就職するまでの道のりはずいぶんといい加減だった……という以上に
いかにして生きていくのかという先々の見通しがまったくできていな
かった。

だから、どんな仕事に就くのかという具体的なビジョンも持ち合わせ
てはいなかった。単に、山小屋でアルバイトをしていたというだけの
理由で旅行会社を志望していたのだが、最終面接までたどり着いたも
のの、内定を取ることに失敗したのである。

それで11月初めからスタートしたマスコミにターゲットを移したのだ
った……変わり身が速いのはいいが、マスコミに対して抱いていたイ
メージは、就職活動の渦中にいた大多数の人間と変わることなどない
レベルだったのだ。

結局、12月のどん詰まりになったところで、一つの出版社から内定を
もらえて、とりあえず一安心したが、出版であるとか編集については
何も知らないことに気がついた。まさに徒手空拳で入社し、一つ一つ
を亀の歩みのごとく覚えていって、仕事を続けることができた。

とはいえ、決して器用な質ではなかったこともあって、37年半をほと
んど似たような現場で過ごして定年退職の日を迎えたのである。そん
な徒手空拳が幸いしたかどうかはわからないが、なまじな人生設計を
手にして仕事を始めたらろくなことにはならなかったかもしれない。

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