簧話§ブラームス~秋から冬への音楽~

春や夏を過ごしている時はそれほど感じないのだが、秋に入った頃か
ら聴きたいと思う音楽の嗜好が明らかに変わってきて、しかもおよそ
毎年判で押したように同じような音楽が思い浮かんでしまう。

その一番手はというと、ブラームスのクラリネット五重奏曲である。



午後の太陽光線が斜めから射しこんで、世間全体が赤かぶりをした色
みを帯びるような中に流れてくる音楽は、もう長いことブラームスの
これしかないのだ。

ブラームスの音楽の中には“黄昏”の成分が横溢していて、我が身の
ように人生も黄昏を迎えた類には、殊の外に音楽が沁みとおってくる
のである。

下の映像はモーツァルトのクラリネット五重奏曲だが、こちらはイ長
調だから楽想は明るい……ブラームスはロ短調。

↓オリジナルどおりにバセット・クラリネットを使った演奏


まったく同じ編成の音楽なのに、イメージはまったく違っている。ブ
ラームスが晩秋を感じさせるのであれば、モーツァルトの音楽は、長
調であるにもかかわらず、初冬に入った小春日和の午後というイメー
ジを抱くのである。けっして、春や夏という発想は思い浮かばない。

というわけで、そんな今時分の音楽を紹介してみたが、さらに季節が
進んで冬の寒さが厳しくなると、北ドイツ生まれのブラームスの音楽
からさらに北上して、フィンランド出身のシベリウスあたりへと移っ
ていくのである。

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