旨話§追憶の玉葱のかき揚げ

玉葱のかき揚げに出会ったのは、尾瀬の山小屋でアルバイトをしてい
た時のことだった。宿泊客の夕食に出すおかずの中にかき揚げが入っ
ていた。

簡単で安上がり、でまあそこそこ食べられるということもあって、ほ
ぼ毎日のように作られていた。そして従業員やアルバイトの人間にも
晩飯のおかずとして回ってきたのである。

もう客用の食事も賄い飯も境い目などあったものなどなかったのは、
当然のことだった。天麩羅に大根おろしなど付け足す余裕などはない
から、醤油かソースかをかけるのだった。

これが、人によっておもしろいほど分かれるのである。自分はといえ
ば、その日の気分で醤油にしたりソースにしたりと、いい加減という
か適当というか……だがシンプルなこの一品が、意外なほどにご飯に
合うのだ。特に揚げ衣が薄いところの焦げている玉葱の香ばしさは、
多少揚げ置きで時間が経っても実にうまかったのだ。

そんな玉葱のかき揚げと再会したのは、大学を卒業して会社に入った
ランチタイムのことだった。2014年秋に閉店した“利根そば”という
立ち食いの店の天麩羅そばが玉葱のかき揚げなのだった。

これがうまい。やや硬めクリスピーに揚げられたかき揚げに、蕎麦と
つゆがばっちりはまって、利根そばで食べる定番になったのである。
山小屋のかき揚げも利根のかき揚げも、中身は玉葱のみだったが、な
まじ別のネタを入れないほうが潔くうまいのことは言うまでもない。

もう自宅で揚げ物を作ることはしないので、酒のつまみに食べたいと
思うのだがマーケットの総菜売り場には意外とないのは残念である。
そういえば、ハンバーガーの類を売り物にするカジュアルレストラン
にはフライドオニオンなる食べ物があることを思い出した。

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