偲話§中村勘三郎~五年経っても~

八十代で亡くなった富十郎や先代芝翫、九十代だった先代雀右衛門に
比べれば、勘三郎も團十郎も三津五郎も十分に舞台に生きたとは言え
ないと思う。

というわけで今日は、十八代目勘三郎の命日である。2012年に亡くな
ったので丸5年が過ぎた。ことあるごとに、60歳を目前に力尽きた一
歳年下の歌舞伎役者を思い出すのである。

2001年秋、まだ勘九郎時代だった時の中村座で初めて彼の舞台を観て
以来、たった10年ほどでしかなかったが、同世代の役者が花開いてい
く様をつぶさに見続けることができたようだ。

一連の野田の作品はもちろん、歌舞伎座ばかりでなく、平成中村座、
シアターコクーンといった小さな劇場での興行にも可能な限り付き合
ってきた。

そんな中村屋の“三絶”をと聞かれれば、うーんと悩みながらも……

夏祭浪花鑑……シアターコクーン、2003年

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研辰の討たれ……歌舞伎座における十八代目襲名披露狂言、2005年

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連獅子……歌舞伎座さよなら公演、2010年

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……などなどを挙げておきたい。シアターコクーンの『夏祭浪花鑑』
は、演出を変えて2回観ているが、大阪は福島天満宮の地車講の鐘と
太鼓をお囃子として使った2003年の印象が強烈に残っている。

5年でも余計に生きていていてくれたら、より多くの舞台を我々に残
してくれただろう。まずもって一昨年、還暦の年には助六を演じるつ
もりだったし、時代物へと手を広げる矢先だったことが悔やまれてし
まう。

毎年この日が来るたびに、半ば感謝しつつ、半ば繰り言になるのは、
しかたないことではあるのだが。どうしてもこんな仕儀となるのだ。

そして今日はモーツァルトが没して226年の日でもある。

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