忙話§急ぐことはなけれども

何かに急かされることのことのない身の上である。人と会うとか、劇
場や演奏会の開演時刻は守らなくてはならないが、それ以外に、何か
あるだろうかと考えてみる。

そうしてみたら、後はそれらしく急かすような要素は特にないことに
気がつく。

会社で仕事をしていた時には、人とのアポイントメントや、仕事した
材料を納める発送の自動車便の時刻などなどには神経を使っていた。

一便でも遅れたら、その分先方からの戻りも遅くなるわけで、そんな
背中を押される仕事が37年半も続いたのである。

そうなると、好むと好まざるとにかかわらず、自然にある種の定型に
はめ込まれてしまうことになったのはしかたがないというか、そうな
るしかなく、結果として窮屈な宮仕えを送ることになってしまった。

そうして定年退職このかた、ようやく少しずつそうした型から解放さ
れつつあるように感じる。型から抜け出られるまでには3年の年月を
必要としたようだ。

というわけで、ようやく身体の周囲と世間との間に隙間が出来てきて
楽になったような気がする……緩みといえばそのとおりで、日々を送
る中では、その緩みが引き起こすミスで同居人から厳かに注意を受け
るのである。

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