姿話§秀山祭九月大歌舞伎昼の部~福助~

というわけで秀山祭九月大歌舞伎昼の部を観てきた。簡単な感想を。

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最初の演目『金閣寺』が、中村福助復帰狂言となっている。2013年秋
病に倒れて以来の舞台ということで、どのようなものか見ておかねば
と思ったのである。

ほとんど幕切れ直前に板付きで登場して、ほんの数分の舞台姿だった
が、座ったままで右手は使えず、左手のみ。台詞も聞き取りにくいも
ので、これをもって完全復帰というのは難しいと思った。

2つ目『鬼揃紅葉狩』は、幸四郎の更科の前実は戸隠山の鬼女、錦之
助の平維茂で。鬼女に姿を変える前の幸四郎の女形のこしらえが何と
いうか少々居心地の悪さを感じたが、やはり立役の人であるからか。

最後に吉右衛門の『河内山』である。何という恰幅、芸の大きさであ
ろうか。それはもう融通無碍そのものである。

存在としてはしょぼくれた茶坊主でしかないところを、悪知恵を巧み
に使って、わがままな殿様の所業をやり込め、若い娘を救い出す……
珍しくも人が殺されたりなどしない、行ってみれば“気持ちのいい”
芝居で、そんな芝居を十全に見せてくれるのが吉右衛門なのだ。

幕切れ近くの名台詞「とんだところに北(来た)村大善」も、ちょっと
工夫して“北”でちょっと間を置くことで“来た”という意味をより
際立たせていた。そんな、小さな工夫の積み重ねが、今の吉右衛門の
大きさとなって眼の前に存在していたのである。

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