卯話§四月大歌舞伎夜の部~仁左衛門見事~

一か月で歌舞伎座昼夜を観るのは久しぶりのこと。日曜夜のチケット
が取れたので、特に帰りの電車が空いていて楽なのだ。

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夜の部は3本……『実盛物語』から、猿翁十種の内『黒塚』に続いて
『二人夕霧』というものだが、ゆえあって夕霧はパスして2本だけの
鑑賞となった。

まずもって仁左衛門の実盛がすばらしい。我々夫婦の目下の御贔屓は
吉右衛門と仁左衛門の二人なのだが、当月はその二人が昼と夜に登場
して、各々の持ち役を披露したのである。

吉右衛門が人物の大きさ、押し出しのよさで見せるのに対して、仁左
衛門は時に柔らかで人間味あふれる描写で、ある意味爽やかさを感じ
させるものがあるのだ。

ほぼ出ずっぱりの舞台、仁左衛門という芯を歌六の瀬尾十郎以下、脇
もまた隙なく固めて、凝縮され充実した一時間半は飽きることがなか
った……孝太郎の小万、米吉の葵の上、寺嶋眞秀の太郎吉、松之助の
九郎助、齊入の小よし。

そして、猿之助の『黒塚』である。3階から双眼鏡で覗いた猿之助の
老婆は、叔父の猿翁によく似ていて、そこはやはり血の繋がりなのだ
と感じた。前半は、特に抑制した芝居と感じたが、後半の鬼女の舞台
も、やや重めではなかったか……同居人は、以前観た時よりも“あざ
とさ”のようなものを感じたようだった。

錦之助の阿闍梨祐慶、種之介の山伏大和坊、鷹之資の山伏讃岐坊、そ
して猿弥の強力太郎吾が丸っこい体を生かしたコミカルで切れのいい
動きで客席を湧かせていたのだ。

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