梳話§我が整髪料の変遷

整髪料を使い始めたのは、中学に入ってしばらくしてからだったかと
記憶している。

自分の癖毛が好きではなかったので、床屋でも短めに切ってもらって
いたから、わざわざ整髪料を使うほどのこともなかったのは小学校の
頃で、中学に入れば少しは色気づいてきたということか、ちょっとだ
け長めに揃えてもらい、当時は誰もがそうしたように七三に分け目を
入れていたのだ。

そうすると整髪料が必要となり、最初に買ったのが“ヴァイタリス”
なるヘアリキッドだった。リキッドは毛髪に振りかけてマッサージし
ていると粘り気が出てきて整髪できるようになる……液体ポマードと
言ってもいいだろう。

だが、ヴァイタリスはあっという間に通過して手にしたのが資生堂の
“MG5”だった。何よりもパッケージデザインが抜群で、こぞって
若者が買ったのは当然のことである。

その当時驚いたことは、庄司薫が書いて芥川賞を受けた小説『赤頭巾
ちゃん気をつけて』の中に、様々な商品が実名で使われていて、その
中にMG5があったことだ。

最初はヘアリキッドを使っていたのを、高校に入ったあたりからは、
ヘアトニックであっさりと整髪するようになり、大学に入って以降は
同じMG5でもギャラックというブランドのヘアトニックを使うよう
になった。

ギャラックの嫌みのない香りが気に入って1980年代後半まで愛用して
いたが、徐々に店頭から姿を消して困っていたところ、ドライブ先の
松本の化粧品店にあるのを見つけ、いそいそと買ったのだが、それが
最後となってしまった。それ以降は、整髪料ではないが、シーブリー
ズを振りかけてブラシで簡単に整えているだけ。

色気づいてから半世紀……整髪料の自分史である。

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