変話§土潤溽暑~七十二候~大暑

大暑の次候“土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)”である。

“土潤溽暑”とは、いかにも大暑の候にふさわしい候名ではないか。
土が湿りに湿って、空気がムシムシに蒸している……そうした様子を
まざまざと思い浮かべることができるのだ。

まさに日本の夏である。水分をたっぷり含んだ空気のおかげで、肌が
守られていると改めて実感するようになったのは、昨今のヨーロッパ
の猛暑である。

旅行していて、ほどほどの気温であるなら気持ちよく過ごすことがで
きるところ、35度にも達するような暑さに加えて、容赦なく乾燥した
空気は肌には優しくなどない。

道行く彼の国の人々を見やるなら、明らかに我々よりも陽に焼けてい
る。それは毎度毎度書いているように、太陽が出ることの少ない冬の
怨みを一気に取り戻そうと、せっせと日光浴をするからで、長い長い
積年の怨みのゆえであろう。

20年くらい前までは、海外旅行から日本に戻って飛行機から出た瞬間
のまとわりつく湿気をうとましく感じたが、もうずいぶんと長いこと
帰国した瞬間の湿気を愛おしいと感じるようになってしまったのだ。

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