幼話§無益な殺生は~子供は残酷と~

蝉が飛び交っている。小学生の頃は何をするわけでもなく、採り網を
持って蝉取り遊びをしていた。捕まえた蝉はさっさと逃がしていたか
ら目的などはないも同然で、蝉には悪いことをした。

そんなころ、それ以上に残酷なことをしたことはなかったが、虫を捕
まえて手でつまむことなど造作もなかったが、長じるにつれて何とな
く虫の類に触るのを躊躇するようになったのは不思議なことである。

子供の頃のほうが残酷であると思うが、それは彼らにとっての“死”
なるものが、はるか遠い先にあるからではないか。死を実感すること
がないから、生ける虫に対してもかなり残酷な所業に及ぶのだろう。

長じて、虫などを触ることを躊躇するのは、彼らに中に“生”に対す
る意識が成長していくからではないだろうか。

子供の頃に道を歩きながら、蟻の行列を踏みつけて気がつかなかった
が、長じた今視線の中に彼らの存在を見つけると、できる限り踏まな
いようにと我が身を戒めている。それでも歩いている間に、残念なが
ら踏みつけて命を奪ってしまっていることもあるだろうと思い、いさ
さかなりと心が痛むのである。

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