偲話§秀山祭九月大歌舞伎~吉右衛門休演~

遅ればせながら、先週火曜日に観た秀山祭九月大歌舞伎夜の部につい
て手短にまとめておく。
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というか、前日の16日から吉右衛門が発熱で休演してしまったのだ。
そこが歌舞伎の強みというか、夜の部一本目の菅原伝授『寺子屋』の
松王丸は松緑の代役で舞台が行われた。ちなみに昼の部『沼津』の呉
服屋十兵衛は幸四郎が代役を務めた。

もちろん吉右衛門の松王を観たかったが、しかたがない。やはり厚み
がまったく違って見えてしまった。個人的には児太郎の戸浪に感心。
天王寺屋の鷹之資が務めた涎くりは儲け役だが、しっかり務めて先々
に期待したい。

二本目『勧進帳』は奇数日と偶数日で配役が変わる。我々の偶数日は
仁左衛門の弁慶、幸四郎の富樫だった。義経は孝太郎。

まずもって仁左衛門の端正そのものの弁慶を堪能した。どこの誰とは
言わないが、眼を剥いたり、手をひらひらさせたりと余計なあれこれ
をくっつけたりなどはせず、無駄を削ぎ取った清々しい舞台だと感じ
たが、七十代も半ばになっての勧進帳の弁慶だから、冒険などできる
はずもなく、そうしたことが奏功したのではなかっただろうか。

それにしても寺子屋と勧進帳を一晩でというのは、観る側にとっても
大きな負担で、勧進帳の後に席を立つ人が目に立ったのもしかたない
こと。

というわけで三本目は、三世中村歌六百回忌追善狂言『松浦の太鼓』
で五代目歌六の松浦鎮信。太平の世に突然起こった忠臣蔵をバックに
いかにも“平和ぼけ”したわがままな殿様をユーモラスに演じていた
が、一時間超の大物三本観劇はきつかった。終演は21時過ぎで、歌舞
伎座下から地下鉄などを乗り継いでの帰宅は22時過ぎだった。

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