劇話§四月大歌舞伎『実盛物語』太郎吉
仁左衛門の実盛が素晴らしかった。何というか本当に過不足なく、し
かもきっちり表現していた。大向うの「当代一!」もむべなるかな。
それはもちろんだが、今回の実盛には初代・片岡千之助が太郎吉で出
演するので視線は“まーくん”――野球のまーくんより先だ!――を
追ってしまう。
何と言うかチケット代金の五分の四は、千ちゃん見たさなのである。
花道の出から幕切れまでほとんど出ずっぱりで、しかも台詞も動きも
たくさんある役で、仕込むのは本当に苦労だったと思われる。それに
応えて子役としての役割は果たしたのだった。
聞くところ、最初の頃は舞台上で“得意の笑顔”が出がちだったらし
いが“オーパ”あたりから注意があったようで、自分とは関係のない
場面で多少もじもじしはしていたが、立派に責任は果たしたと言える
だろう。
それが証拠に……子役は儲け役とは世の常だが……客席も十分に楽し
んでいたように見受けられる。気の早い向きは、いきなり天才子役だ
などと持て囃すのだろうが、それは日本人の悪い癖である。
§お気に入り§
かもきっちり表現していた。大向うの「当代一!」もむべなるかな。
それはもちろんだが、今回の実盛には初代・片岡千之助が太郎吉で出
演するので視線は“まーくん”――野球のまーくんより先だ!――を
追ってしまう。
何と言うかチケット代金の五分の四は、千ちゃん見たさなのである。
花道の出から幕切れまでほとんど出ずっぱりで、しかも台詞も動きも
たくさんある役で、仕込むのは本当に苦労だったと思われる。それに
応えて子役としての役割は果たしたのだった。
聞くところ、最初の頃は舞台上で“得意の笑顔”が出がちだったらし
いが“オーパ”あたりから注意があったようで、自分とは関係のない
場面で多少もじもじしはしていたが、立派に責任は果たしたと言える
だろう。
それが証拠に……子役は儲け役とは世の常だが……客席も十分に楽し
んでいたように見受けられる。気の早い向きは、いきなり天才子役だ
などと持て囃すのだろうが、それは日本人の悪い癖である。
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