笛話§フルートでこんな曲を吹いていた[Ⅰ]

2年ほどだったかフルートのレッスンを受けてはいたが、ほとんどは
自己流で吹きたい曲を吹き散らかしていたに過ぎない。

一番最初に、強烈にこれが吹きたいと思ったのがドビュッシーの『シ
リンクス』だった。田舎住まいの高校生にとっては、楽譜探しから始
めなくてはならなかったのだ。当然ながら人口10万ほどの田舎町にあ
る楽器屋の書棚にあるはずもなく、電車で40分ほどの県庁所在地の大
きな書店の楽譜コーナーまで行ってやっとこさ見つけたのである。

龍吟社という楽譜出版社のもので、青表紙の中身は無伴奏のフルート
曲が4つほど入っていたが、とりあえずはドビュッシーに取りかかっ
た。四分の三拍子で40小節ほどの小品だが、どうにもこうにもならず
こうなればと“イメージ”で勝手に吹くしかなかった。

というかドビュッシー自身も四分の三拍子というものに拘っていなか
ったんじゃないのかと思うことにした。何せ無伴奏である。奏者の自
由裁量が最大限認められているのではないかと、音楽のつなぎから間
合いから、完全に楽譜から逸脱するような演奏をしていたのだ。

それは今から思えば、楽曲の性質上あながち間違っていたとは言えな
いのではあるが、それにしてもいい加減なことをしていたのである。
もっともお手本はあって、オーレル・ニコレが演奏したものを、でき
るだけ“らしい”ニュアンスにするべく精を出しだのだった。

本人はその気でも、実際の表現がどうだったか……。
                            [続く]

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