皐話§ハーディングと新日フィル演奏会

5月になってようやく晴れた5日の夕方、18時開演のサントリーホー
ルにて、ダニエル・ハーディングが新日フィルを指揮した創立四十周
年記念特別演奏会を聴いた。曲目は以下の通りで独唱は藤村実穂子。

R.シュトラウス:組曲『町人貴族』Op.60
ワーグナー(モットル編):女声のための5つの詩
『ヴェーゼンドンク歌曲集』Op.91

マーラー:交響曲第1番『巨人』D-Dur

町人貴族が40分、ヴェーゼンドンクが25分、巨人が60分と、通常2時
間のコンサートではなく、2時間半を要しての20時30分終演は、特別
演奏会と銘打ってはいても長過ぎて、正直なところ前半で疲れてしま
った。普通なら一曲目は序曲か前奏曲程度だろうと思った。

だからというわけではないが、ひそかに期待していた町人貴族が冗長
でつまらない演奏だと感じたのである。新日フィルの演奏はていねい
なのだが、シュトラウスの諧謔やパロディーを表現できたとは思えな
い。シュトラウスの交響詩や管弦楽曲は苦手だが、町人貴族は好きな
ほうだったので、ちょっと残念な結果に終わってしまった。

ちょっとした徒労感を覚えつつ2曲目のワーグナーへ。……藤村実穂
子の一点一画をゆるがせにしない万全な歌声が、体全体に染みとおっ
ていくのがわかる。

我々が座ったのはLDの一番奥だが、彼女の声は過不足なくホールの
一番遠い席までしっかりと届くのだ。豊かな表現と声量のバランスが
あいまって、色気不足は気になどならない。いかにも彼女らしく折り
目正しいワーグナーを堪能したのだ。

この日は、ワーグナーで満足したので、メインのマーラーは付け足し
でしかなかった。というか、端正な演奏ではあったが、そこどまりで
個人的にはピントが合わない1時間という印象に留まってしまった。

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