懐話§昭和三十年代~殺虫剤噴霧消毒~

[承前]

水洗便所などという、それ以前家という家、建物という建物にあった
トイレはすべて汲み取り式で、定期的にバキュームカーなどが汲み取
りに来ていたのである。

そんな衛生状況であったから、蠅や蚊などが発生のし放題だったのは
当然のことである。夏などは家の中にも蠅が飛び交っていたから、卓
袱台の上に置かれた食べ物を守るための“蠅帳”が常備されていた。

そんな夏の頃に、市役所の指示を受けた町内会が中心になって、防虫
のための消毒作業が行われたのだ。耕運機をベースにした噴霧消毒機
が、各戸を回っては強力な殺虫剤を家の中に吹き込んでいくのだ。そ
れぞれの家では、雨戸という雨戸を閉め切って殺虫剤を充満させるの
である。

薬剤が落ち着くまでの一時間ほどは家から閉め出されるのだが、家に
戻ったところで戸を開け放して、畳に落ちた虫を掃き落としたり、家
具を拭いたりしたの。今考えると相当に乱暴な話だが、そうでもしな
いことには衛生状態を保てなかったという、そんな時代なのだった。
                            [続く]

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