懐話§昭和三十年代~カルメ焼き~

[承前]

縁日でおなじみ実演販売のカルメ焼きである。縁日ばかりではなく、
まだまだ緩かった昭和三十年代は、小学校の正門から車道に出る20m
ほどのアプローチで露店が営業をしていたのだ。

夏場は金魚すくいも出たりした中であって、蜜豆の屋台というのもあ
った。親たちは“不衛生だから食うな”と阻止しようと試みてはいた
が、子供のこととてたやすく誘惑に負けるのである。

小碗にえんどう豆と寒天を入れ、糖蜜をかけて10円とかそんなもので
あるが夏休みのプール帰りにちょいとというのがよかったのである。

夏場が蜜豆とすれば、秋口から登場するのがカルメ焼きなのだった。
あれは不思議な作り方をしていて、ザラメ中心のタネを、金物のお玉
に入れて熱し、沸き上がってきたら重曹を混ぜ込んで粗熱を取ると、
あっという間に昭和新山のごとくにふくらんで出来上がり。

露店のおっさんは、いとも簡単そうに無造作な手つきで淡々とカルメ
を焼いては、横の台にのせていく。それをガキどもが買っていくので
ある。

親たちは日頃から、夏の蜜豆だけではなく、買い食い全般に神経質だ
ったから、カルメ焼きなども御法度の対象だったりしていた。だが、
そんなことどこ吹く風で、敢然と(大げさな)買い食いして知らんぷり
を決め込んでいたのだ。

一つ不思議なことは、縁日であったら買い食いが大目に見られていた
ということで、そのあたりの判断基準などは、いまだにわからない。
                            [続く]

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