連話§ワタシの酒肴[131]ハムカツは薄く

[承前]

おそらく、とんかつの代用品として作られたであろうハムカツだが、
かつては“薄かった”のだ。揚げ上がったハムの厚さは5ミリもなか
ったはずである。そして、その薄さを愛でた世代なのだ。

ところが“商品”として――昔だって商品だ――の今は、厚くなって
しまった。1センチとは言わないが、5ミリと1センチの間くらい。
そんなにも厚くある必要などはないと思うが、どこの総菜コーナーを
眺めても、立派なハムカツが偉そうに並んでいるのである。

だが、そんな立派で厚いハムカツの食感には違和感を覚えてしまう。
明らかに違うのだ。そもそもがB級であるハムカツを、厚くしたから
といってクラスが上がるわけではない。

薄くてこそハムカツの存在感が際立つわけで、厚いハムカツは明らか
にハムを食べているのだが、ハムカツは“ハムと衣”を食べてこその
ハムカツなのである。

世の中にはミルフィーユ・ハムカツと称して、極薄のハムを何枚か重
ねて揚げたものもあるようだが、それもどこか“大きなお世話”だと
感じている。

とにかく小細工などは必要なく、5ミリに満たない厚さのハムを衣を
厚めにして揚げてくれるだけでいいのだ。そんな、どうってことのな
い、ごくごく平凡で普通のハムカツを食べたいと心から思うのだ。
                            [続く]

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