邂話§尾瀬初夏水芭蕉[2]上田代牛首

[承前]

さても上田代である。自分的尾瀬行の比重において、尾瀬ヶ原の西半
分の経験値は、下田代から尾瀬沼あたりの経験に比べれば、明らかに
低いと言えるだろう。

というわけで今回は、ルートマップ記載の歩行時間の倍近くをかけ、
特に上田代牛首のあたりを中心にゆっくりゆっくり歩を進めてみた。
そういえば牛首を間近からまじまじと眺めたことはなく、なぜか先を
急いで通過していたことに気がついた。

山ノ鼻の小屋群を後に、上田代のとっかかりに出るとすぐに燧ヶ岳の
雄姿が眼に飛び込んでくる。ほどよく残雪も散りばめられ、麓のほう
は新緑が萌え始めているのがわかる。

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水芭蕉の小群落が見えてきたので足を止めて撮影。ちょっと先の流れ
を見下ろしたら、水中花の水芭蕉がいくつか。一週間前の豪雨の影響
だろう。湿原の色も何がなし汚れたように見えてしまう。

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かつて、水芭蕉の季節にもしばしば尾瀬に入ってはいたが、これほど
季節の移ろいを目のあたりに感じながら歩いたことはなかった。自分
の中の感受性のあり様がずいぶんと違っているが、何を今さらで二十
代と六十代と40年も違えば、同じ人間でも変化があるのはあたりまえ
だ。

などと人生を振り返りなどしつつ牛首へとさしかかる……西側から見
ると牛首に沿って上の大堀が流れている。雨の影響で水量が多いので
牛首が島のように見えたが、これもまたかつては気がつかなかったこ
と。いかに若い頃にはさっさと歩いて過ぎてしまっていたかである。

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牛首を過ぎれば、燧ヶ岳はさらに姿を大きくし、ほどなくヨッピ吊り
橋方面と中田代十字路方面の分岐が近づいてくる。

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荷揚げを終えた歩荷(ボッカ)さんとすれ違えば、分岐に到着だ。

追記:まだシーズン初めだから、ボッカが体慣らしにかつぐ荷物の量
は少ないが、ハイシーズンには100kg近くを担ぎ上げるという。


                            [続く]

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