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雅話§百人一首考[92]~わがそでは~

[承前] 二条院讃岐(にじょういんのさぬき) わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし とかく、表現というものは大げさになりがちで、そうあることを恥じ ていたら、恋はできないだろうし、結果として歌も詠めないというこ とになってしまうだろう。 潮の干満で見えない沖の石と自らの袖を引き合い…
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雅話§百人一首考[90]~みせばやな~

[承前] 殷富門院大輔(いんぷもんいんのたいふ) 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず ここにきて、女性からの強烈な恋歌が立て続けである。百人一首の、 特に後半は完全に手薄だったから、こんな歌が何首もあるとは思って もいなかった。 それにしても小倉百人一首の選者である藤原定家だが…
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雅話§百人一首考[89]~たまのをよ~

[承前] 式子内親王(しょくしないしんのう) 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする “なまじ長生きなんかすると、耐え忍ぶ力が弱くなって、秘密の恋が 暴かれてしまうわ”……だから、それだったら死んだほうがましよ! という、何とも激しい恋模様である。 そこまで本気――と書いて“まじ…
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雅話§百人一首考[88]~なにはえの~

[承前] 皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう) 難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき いにしえにおける男女の出会いの場がどのようなものであったのか、 市井の民と公家の人々と、当然ながら状況は違っていただろうから、 ここでは公家のほうがどうだったのか考えてみる。 女性が公的な…
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雅話§百人一首考[82]~おもひわび~

[承前] 道因法師(どういんほうし) 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり 死にそうになるほどの恋心を持つ人がどれほどいるものかと思うが、 それは半端ないエネルギーということなのだ。 この歌を詠んだ道因法師は、平安時代後期の人としては稀に長生きで 92歳まで生きたのだが、その事実は彼…
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雅話§百人一首考[80]~ながからむ~

[承前] 待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ) 長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ 男が通ってきて、帰った朝の情景と想いを詠んだ一首である。ただし 直近のこと詠ったわけではなく、剃髪して尼になった後に昔のことを 回想してということのようだ。 短歌の、特にこのような時代に詠まれた歌…
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雅話§百人一首考[77]~せをはやみ~

[承前] 崇徳院(すとくいん) 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ 久々によく知っている一首が巡ってきた。それにしても、どれほど知 っている歌が少ないのかと……子供の頃の遺産もその程度でしかなか ったのが情けない。 番号順で、このあたりの知っている歌はというと、数首後の“ほとと …
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雅話§百人一首考[74]~うかりける~

[承前] 源俊頼朝臣(みなもとのとしよりあそん) 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを やれやれ、あと四分の一というところまでたどり着いた。それにして も、百人一首でこれほど目にした歌があったとは思わなかったという のが、週に2回の文章に現れていることと思う。 朝臣くんの彼女は“…
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雅話§百人一首考[72]~おとにきく~

[承前] 祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのうけのきい) 音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ アラサーのプレイボーイが70歳のおばさまに詠んだ恋の歌に対して、 彼女の返歌がこれである。ちなみに、プレイボーイが詠んだ歌は…… 人知れぬ 思いありその 浦風に 波のよるこそ 言はまほしけれ…
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雅話§百人一首考[65]~うらみわび~

[承前] 相模(さがみ) 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 恋多き女である相模面目躍如の一首……私って、恋多き女ということ の評判だけで死んでしまうのかしらと、来し方行く末に思いを馳せて いるわけだが、結果としてその評判が後世に残ってしまったわけで、 千年先の未来に、こんなブログ…
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雅話§百人一首考[63]~いまはただ~

[承前] 左京大夫道雅(さきょうのだいぶみちまさ) 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな ずいぶんと女性に対して“積極的”な人だったようで、けっこうな騒 動を引き起こしているばかりか殺人にも関与しているという、当時か らとかく評判の悪い公家さんだったのだ。 そんな“悪人”でも歌を…
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雅話§百人一首考[62]~よをこめて~

[承前] 清少納言(せいしょうなごん) 夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ 清少納言のような人を相手に下手な喧嘩をしては返り討ちで大炎上と なるのは必定である……それなのに藤原行成くんは、何ともつまらぬ 言い訳をしたとしか思われぬ。そのあたりの詳しい経緯を彼女自身が 『枕草子』第百三…
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雅話§百人一首考[59]~やすらはで~

[承前] 赤染衛門(あかぞめえもん) やすらはで 寝なましものを さ夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな 待ちぼうけの一首である……来るかと思っていた通い婚の相手はやっ て来ず、西の空に月が落ちていくところまで寝ずに待ってしまったと いう残念な一夜なのだった。 さて、待ち人はどうしていたのだろうかと考えて…
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雅話§百人一首考[58]~ありまやま~

[承前] 大弐三位(だいにのさんみ) 有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする 忘れた頃になのだろうか、相手の男から「忘れられたんじゃないかと 心配になって」と言ってきたのに応えて「忘れてるのは、あなたのほ うじゃないの」と皮肉を効かせた一首である。 はてさて当時のやり取りは、どれくらいのテ…
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雅話§百人一首考[54]~わすれじの~

[承前] 儀同三司母(ぎどうさんしのはは) 忘れじの 行く末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな 「忘れないとと言われても、そんな先のことはわかりませんわよ」と 通ってきた新婚の夫に言う新妻ってどんな人なのでしょうね。 根が駆け引き下手にできているものだから、いきなりそんな言葉で先 制攻撃されたらア…
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雅話§百人一首考[53]~なげきつつ~

[承前] 右大将道綱母(うだいしょうみちつなのはは) 嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る 女性から“待ち人来たらず”で一人寝が長いの何のっていう、恨めし さ満点の一首が出てまいりました。 今であれば、携帯メイルかLINEなんかで「ごめん、行けない」と断り が即時に入るから諦め…
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雅話§百人一首考[52]~あけぬれば~

[承前] 藤原道信朝臣(ふじわらのみちのぶあそん) 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな 地球の上に朝が来る~その裏側は夜だろう~♪ ……と歌ったのは川田晴久という、物心ついた時には亡くなっていた で、さすがに記憶にないコメディアンだった。 テレビで見たことがある…
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雅話§百人一首考[51]~かくとだに~

[承前] 藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん) かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを “ねえ、私のことどれくらい好き?”という質問に真正面から答えら れる男子がどれくらいいるのだろう……たくさんいるんだろうな。と いう想像とは別に、こんな四コマ漫画があったことを思い出した…… …
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雅話§百人一首考[50]~きみがため~

[承前] 藤原義孝(ふじわらのよしたか) 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな やれやれ。やっと半分までたどり着いたよ。正直なところ持て余して いて、毎回何を書いてまとめあげようか……悩みに悩んでいるのだ。 それほどに短歌に対して読解力がなく、読んだ歌についての感慨が、 これほどまでまと…
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雅話§百人一首考[49]~みかきもり~

[承前] 大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ) みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ またもや悶々な御人の恋歌でござる。 昨日観た歌舞伎座の納涼歌舞伎第一部は『おちくぼ物語』で幕を開け た。もちろん平安時代にものされた『落窪物語』を歌舞伎化した舞台 で、当時の恋愛模様が描かれてい…
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雅話§百人一首考[48]~かぜをいたみ~

[承前] 源重之(みなもとのしげゆき) 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな また恋歌かと思いながら調べてみたら、大雑把に43首あると知った。 うーん……どうやら、恋の歌だと知らずに読んでいた作品も多数あっ たということなのだな。 で、この歌の主は“自分だけが砕け散るような片思い”…
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雅話§百人一首考[46]~ゆらのとを~

[承前] 曾禰好忠(そねのよしただ) 由良のとを 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな またも、いにしへびとの恋の悩みのようであります。恋歌のほとんど は“うまくいってラブラブじゃん!”みたいなものは、あまり見かけ なさそうな感じで……うまくいってなかったり、片想いでやきもきし ていたり、焦らされ…
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雅話§百人一首考[45]~あはれとも~

[承前] 謙徳公(けんとくこう) あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな ずいぶんとヘタれた歌だなあとは、注釈を読んでの感想である。 大意は“誰にもかわいそうにと言われないまま死んでしまうのだな” ということのようだが、容姿端麗だったと言われている人となりだっ たとすれば、それほ…
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雅話§百人一首考[44]~あふことの~

[承前] 中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ) 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし これもまた“恋歌”である。万葉集の時は“相聞”という分類だった のが、古今集以降は恋歌という括りになったようだ。 こうして第1首から百人一首を読み始めていくと、意外という以上に 恋愛にまつわる歌…
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雅話§百人一首考[43]~あひみての~

[承前] 権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ) 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり この歌を目にした時、何の考えもなしに“昔は思慮が浅かったなあ” と老人が述懐しているのかの思ったのだった。 それがどうも“熱々”にして“ラブラブ!”な恋の歌のようである。 ごちそうさまと片づけてお…
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雅話§百人一首考[42]~ちぎりきな~

[承前] 清原元輔(きよはらのもとすけ) 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは これはどうも“熱々”にして“ラブラブ!”な恋の歌のようである。 ごちそうさまと片づけておしまいにしたいところだ。と思っていて、 ふと、平安時代のラブラブな恋人たちはどのような会話をしていたの だろうと想像してみ…
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雅話§百人一首考[41]~こいすてふ~

[承前] 壬生忠見(みぶのただみ) 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか 恋すてふは“恋すちょう”と読む。蝶々がてふてふだということから 判読できるわけだが、こちらのほうは“恋してるんだってさ”という 意味だろうか。 ああ、引き続いて恋愛の歌であるよ。しかも一つ前と同じく、ひっそ…
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雅話§百人一首考[40]~しのぶれど~

[承前] 平兼盛(たいらのかねもり) しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで 上の五七五はよく覚えているが、下の七七は何だったっけなあという はなはだ頼りない記憶の一首である。 にしても兼盛君……顔にあれやこれや、何でもかんでも出てしまって はいけないではありませんか。 まあ、…
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雅話§百人一首考[39]~あさぢふの~

[承前] 参議等(さんぎひとし) 浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき 帰ってきて一週間、さて再開……詠み人も歌も全然わからないんです けれど。 千年前の人間も、今の人間も“忍ぶ恋”とやらに心乱されてしまうと いう構図であるわけだが、何となくではあるけれど、その昔の人たち のほうが…
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