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ピアニストとしてのクリストフ・エッシェンバッハについて。 実演を聴いたのは30年以上も前の日比谷公会堂で、ここでクラシック の演奏会を聴いたのは後にも先にもこの時だけである。既にして自分 の中で歴史的存在として認識していた節がある。 曲目はオール・ベートーヴェンで“悲愴”“月光”“ハンマークラヴ ィーア”の3曲にアンコールが何曲か。東京でコンサートに通い始め てまだまだ日も浅く、ピアノ・リサイタル自体も初めてのことだった ので、最初の2曲はともかくとしてもハンマークラヴィーアは何が何 だかさっぱり音楽が把握できず、傍目にはピアニストがピアノに向か って必死に奮闘している姿だけが記憶に残っているだけである。 彼に恩義を感じているのは、ショパンの24の前奏曲集の録音である。 エッシェンバッハの録音もこれだけであるし、前奏曲集の録音もこれ 1枚しか持っていない……アルゲリッチもポリーニも持ってない…… という特殊性にある。 LP時代から彼の前奏曲集がお気に入りで、たぶんその雰囲気に惹か れて愛聴しているのだろうと思う。CDのライナーノートにはないの だが、LPのライナーノートを書いていたのが吉田秀和で、彼の言葉 によるとエッシェンバッハのは“黒いショパン”とある。その言葉に 幻惑されているようで、いつ聴いても華やかなショパンという印象を 受けることはない。 3番、16番、24番のように疾走していく曲にしても、どこかに陰りの ようなものが見え隠れするのだ。唯一の救いはというと23番で、ポリ ーニやアルゲリッチといったテクニシャン達だとアルペジオの一音一 音を短めに演奏するのに対して、エッシェンバッハは若干ほんの少し レガート気味に弾いていて、それが個人的好みになっている。結局の ところ彼の23番のために他の録音を買わないということなのだ。 【去年の今日】食話§ドイツの街の中華料理店…参… |
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