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先月発売されていたDVDだが、早く入手したかったのに、なかなか 時間が取れず、週末になってやっと買ってきた。 ああ、懐かしい。……といっても収録された公演初日の9月30日では なく、行ったのは2日目の10月3日なのだが懐かしさは同様である。 とりあえず飛ばし飛ばし眺めつつまずは二幕。スザンナ、伯爵夫人、 伯爵の三重唱のバックのオーケストラの乱れを懐かしく聴く。改めて 聴いてもどういう状況で崩壊が始まり、それがどのように復旧したの か、相変わらず狐につままれたようであるが、とにかく感心するだけ である。 ベームの意図を汲み取りつつ、テンポが遅くなるのをさりげなく“食 い止めているような気がする”ウィーンフィルの相変わらずの自主的 な反応の見事さにまた感心。ポップ、ヤノヴィッツ、バルツァの女声 陣がベームのテンポに合わせて歌う息の長さ――特に手紙の歌!―― にも驚く。 ライナーノートを読むと、フィガロを歌ったヘルマン・プライが東京 に到着したのが、いかなる事情なのかこの日の午前中だったとある。 それからぶっつけでタイトルロールをこなしたのだから、超人的と言 うか何と言うか……。 ああ、あの現場にいたのだと思う。人生で最初に観たオペラの実演が この『フィガロの結婚』で、客席に座っていても眼前で展開する劇と 音楽をどれだけ享受していたものか、今となっては記憶の彼方なので ある。想像以上に状態のいい映像を見て“ああ、こういう動きだった のか”とか、衣装や鬘のあれやこれやを反芻したのだ。そして、終幕 の拍手の凄まじさに20数年の歳月を痛感する。この先、あのように熱 気を帯びた拍手を聞く機会はないだろう。 最後に、特別付録として付いている“君が代”とオーストリア国歌を 聴いた。演奏している映像でないのは残念だが、これほどに格調高く 演奏されたことがあったろうかと思わせる重厚な音楽になっている。 勝手な希望だが、この時にベームが指揮した『ナクソス島のアリアド ネ』を見てみたい。グルベローヴァの伝説的なツェルビネッタをと思 えど、NHKは収録していなかったはずで実に残念である。 《オペラのトピックス一覧》 |
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