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[承前] さて、お次は1983年10月の二期会『ジークフリート』の初演だろうと 思っていたら、その年の5月にベルリン国立歌劇場の引っ越し公演で 『タンホイザー』を観ていたのだ。思い違いだと教えてくれたのは、 このページ。 指揮はオットマール・スイトナー。これまた序曲といくつかの合唱、 それと大まかな粗筋しか知らずに出かけた。 当時の東独の舞台上演としてはかなり大胆と思える、序曲に続くヴェ ーヌスベルクの場面だったが、記憶に残っているのはそこだけ。その 後は既に記憶にないが、三幕の舞台がヴェーヌスベルクの大胆さとは 裏腹に、有機的なつながりに乏しくていささか素っ気ないものだった のが、何だかなあと思いながら帰ったのだった。 初めて実演に接したにせよ『タンホイザー』の音楽そのものは難解で あるとかいうこともなく、すいすいと耳に入ってきはしたが、それ以 上に自分自身が何かをつかみ取ったとかそういう段階には至ってなか った。そういう心境になるまでにはまだ時間を必要としたのである。 書きながら思い出したことだが、この時の公演メンバーの中で牧童を 歌ったソプラノ歌手が“亡命”をしている。1980年代前半の東独は、 まだまだ民主化がどうのこうのとかいう時期にはなっておらず、ベル リンの壁の崩壊までは、あと数年の時が必要なのだった。 [続く] 《ドイツのトピックス一覧》 |
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