音話§ヨハン・ゼバスティアン・バッハ……2

バッハの作品で最も頻繁に聴いているだろうと思われるのは
『ゴールドベルク変奏曲』だろう。特にグレン・グールドの
新盤。それから旧盤が続き、ハープシコード演奏はレオンハ
ルトを聴く。

グールドの新盤(1981年録音)は、彼の白鳥の歌となってしま
ったわけだが、聴くたびに、はっと思わせるところがある。
普段は、実演主義者で「録音は音楽の缶詰」などと陰口をた
たいているが、グールドばかりはどうしようもない。録音を
聴いて素直に驚嘆することになる。

冒頭のアリアを徹底した弱音で聴かせたあと、第一変奏がフ
ォルテで突然やってくるので、それだけで耳が驚いてしまう。
全曲を大体アタッカで連続して演奏されるために緊張の糸が
切れることもない。

好きなのは第七変奏で、シチリアーノ風の曲想の中、後半の
3小節目だったかの上昇音とそのあとのスタッカートの下降
音は、笑いカワセミが一鳴きしたようなユーモアを感じさせ
る。

最終変奏のクオドリベットの後、アリアが再び弱音で戻って
くるが、これを聴き終わると、もう一度最初から聴きたくな
るのである。

それにしても、LPの幕開けの時期にあたる1955年に旧盤を
録音、CDの幕開けと同時期の1981年に最後の録音を発売と
グレン・グールド自身がオーディオと時代を歩んだような感
を強く持つ。

★ひだまりのお話★

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック