音話§クライバー親子のベートーヴェン第7番

ようやくカルロス・クライバー&バイエルン国立歌劇場管の
ベートーヴェン7番のライブ録音を買ってきた。

1982年5月3日のコンサートのもので、そのほんの数日前に
ミュンヘンに滞在
していて、プログラムを見て地団駄踏んだ
記憶がある。もちろんその時点でチケットは売り切れていた
はずである。

衝撃的な4番の録音の発売(最初はLP)からおよそ四半世紀
して、やっと7番が陽の目を見た。と勇んで買って帰宅後に
聴いた。……早く売って欲しかったというのが感想。つまり
1986年の来日公演でライブの醍醐味を聴いて打ちのめされた
組なので、少なくともそれ以前に発売して聴かせてほしかっ
たというのが正直なところ。

残念ながらインパクトが弱まってしまってしたのである。い
かなる理由でカルロスが発売を渋ったのか理由は不明だが、
渋るほどのことはなかっただろうと素人は考える。それから
決定的にオーケストラの技術と表現力が弱くて、カルロスの
考えていることを実現できていないようにも感じた。不思議
なことに4番の録音は、いまだに新鮮に聞こえるのだが。

上野で4番、7番を聴いた時、7番の4楽章のフィナーレに
向かって指揮者もオケも高揚していく様を、ややサイドの席
から同じように興奮を感じていたが、ふと視線を1階中央の
客席に移すと、観客が前のめりしているように見えた。そん
な風に感じたのは後にも先にもこの時だけだった。

というわけで、がっかりしてしまった翌日の朝、FMをつけ
たら、父親のエーリッヒ・クライバーが1950年代にコンセル
トヘボウを指揮した7番が流れ始めた。オケの度量差もさり
ながら、エーリッヒのきっちりとした構造からオケをギリギ
リと締めていく様を聴いて「ああ、カルロスが最後まで父親
を追い越そうとしてできなかったのはこういうことか」と、
少しだけ理解できたような気がした。息子の集中力も尋常で
はないが、父親の集中力の凄さはそれ以上のものがあったの
だった。

偶然の親子比較になってしまったが、父親コンプレックスを
解消できなかった(しようとしなかった?)カルロスの“弱さ”
を垣間見た気もした。

1月27日はエーリッヒ・クライバーの命日でもある。

+今日の富士山……×

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