悼話§アリダ・ヴァリさん(女優)

迂闊にも、彼女がイタリア人だということを知らなかった。
漠然と東欧系かと勝手に思い込んでいた。

といっても彼女が出演した映画は、リバイバルで上映された
『第三の男』しか見ていないので、プロフィールまで知る由
もなかった。ヴィスコンティの『夏の嵐』すら見ていない。

目元がきつめなので、好みの顔というわけではなかったが、
スクリーン上でも意志が強固な役を演じきっていたと思う。

映画の舞台となったウィーン、オーストリアなどで、この映
画の評判は芳しくないものだと読んだ。麻薬の密輸だとか、
麻薬による被害だとか、四か国占領当時の触れられたくない
暗部を克明に描いた作品だからである。

ヒットしなければ特段顧られるようなこともなかっただろう
が極東の日本あたりでも評判になってしまい、あの映画に登
場したプラーターの大観覧車、カフェ・モーツァルトだとか
中央墓地の並木道ばかりでなく、果ては市内下水道ツアーに
まで参加する旅行者がいたりするくらいである。

【去年の今日】購話「ドイツ・ベルリン・KaDeWe……2」

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