競話§ETV『日本音楽コンクール』2006

先週末のETV2時間枠で放送されたものを観た。以下勝手な感想。

ヴァイオリン……舞台度胸の差が歴然として、それが音にも反映され
ていて、16歳男子高校生の圧勝だった。20歳で3回目の挑戦の揚句に
ようやく本選に残った人の演奏は、特に融通がきくとかいったもので
はなく、本人のこだわりが評価されるようなものとはいえない。正直
に書けば、レベルが低いというような感も強く抱いた。

ピアノ……ラフマニノフの協奏曲を弾いた青年が、これもテレビの音
声から聴いていて、勝つだろうと思っていて予想通り一位。女性二人
はピアノが弾き切れていないように感じた――リストを弾いた“豪快
系”もそう――。パガニーニ・ヴァリエーションを弾いて6回目だか
7回目、年齢制限一杯で今回が最後の挑戦をした女史は……何を表現
……したかったのだろう。

クラリネット……プロ二人が討死。男性は本番に弱いように見え、ミ
スの大きさと、その後の表情がすべてである。一位の青年は、いささ
か思い余っての気味はあって、あれで大丈夫かなあと思っていたが、
意外や一位であった。バセット・クラリネットで挑戦した二位の青年
は“作戦勝ち”だろう。

トランペット……二人の女性は力不足を露呈。男性3人は誰が抜きん
出ているのか聴き取ることはできなかった。海外からの挑戦者が退け
られた結果は、おそらく“コンクール・ゴーアー”のようなものが露
骨に見えてしまったからではないかと無責任な想像。

作曲……相変わらず“ゲンダイオンガク”を聴く耳は持っていない。
タイトルには皆さんご苦労されているようであるが、今回一位になっ
た『水玉コレクション』は、これまでの“純文学”的なネーミングか
ら居直りきったものが見えて笑ってしまった。一瞬、T氏のデビュー
作である『なんとなくクリスタル』を思い出した。

声楽……正直、本選出場者を聴いて脱力ものだった。声楽に転向して
間もないメゾ・ソプラノの女性は、ある種の開き直りのようなものが
みえて“迫力勝ち”というところか。沖縄からの挑戦者は、ウヴェ・
ハイルマンの指導よろしきを得て健闘を見せたが、完成度が高いわけ
ではない。

声楽の場合、特に女性のドレスのセンスには、毎回眼を覆うものがあ
って画面からチェックをしていて苦笑というか呆れ返るのだが、誰だ
ったか、首の後ろで結んだストラップのドレスに大ぶりの首飾りとい
うスタイルがいて、完全に共倒れ状態であった。本人も回りも気づか
ないのではしかたがない。……声楽ではなかったかも。

最後に、沖縄から本選に臨んだ人間が二人いたり、ヴァイオリンもピ
アノも東京芸大や桐朋が一位ではなかったりと、かつてから考えると
様相ががらりと変わっているように見受けられる。

コンクールが無用だ、などとはゆめゆめ思わないが、6回も7回も挑
戦するという、はっきり言えば無意味かつ徒労としか思えない営みに
は首を傾げざるを得ない。それこそ“見切り”もまた必要だろうに。

【去年の今日】劇話§十二月大歌舞伎昼の部・勘太郎

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