逍話§ベルリンを歩く(9)フィルハーモニー[上]

フィルハーモニーを訪れてコンサートを聴いたのは10回に満たない。

そのうちベルリンフィルを聴いたのは5回で、ウィーンフィルも1回
……なぜか……聴いていたりもする。客の入りはガラガラだったが、
ルネ・ヤーコプスの指揮でRIASがモンテヴェルディの『晩禱』を
歌うのも聴いた。

初めてフィルハーモニーに入った時、本当に自分の座席にたどり着け
るだろうかと思った。ブロックの行き先表示はあるのだが、自分が想
像していた到達方法とはまったく違った行き方だったりして、今度は
ホワイエに戻れるだろうかなどと考えてしまった。ちなみに初めて座
った席はオーケストラの真後ろのHブロックで、サントリーホールの
Pブロックにも複数回座ったが、あれよりはるかに広い空間が眼の前
に展開していたのである。

以前にも書いたような気がするが、フィルハーモニーを建設するにあ
たってベルリンの壁に近いこの場所を選んだのは、カラヤンの“いず
れ東西が統一されれば、ここがベルリンの中心になる”という思いか
らだった。

カラヤンの考えたとおり、ポツダム広場には新しいビル群が建設され
あの付近はベルリンの中心の一つとして生まれ変わった。残念ながら
壁崩壊の一年前に死んだカラヤンは、現在のような光景を見ることが
叶わなかったのである。

【去年の今日】漫話§いしいひさいち のこと

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