峡話§リンダーホフ城まで

1987年の夏、ミュンヘンからDBを乗り継いでリンダーホフ城を目指
した。

朝、ミュンヘンを出発してインスブルック方面の列車に乗り、1時間
ほどのムルナウでオーバーアマガウ行きのローカル線に乗り換える。
なんだかんだ2時間ほどでオーバーアマガウに到着。10年に一度の受
難劇と家々の壁面の装飾で有名な町だが、見物する時間などもなく、
駅前からバスに乗ってリンダーホフを目指す。

山中を走ることしばし、城というよりは小振りな宮殿のようなリンダ
ーホフに到着した。バスを降りてほどなく入口があり、入場料を払っ
て中に入る。城内は勝手に歩けるわけではなくガイドツアーである。
英語のガイドを選び、説明など聞くともなくトボトボと後をついてい
くのだった。高そうな瀬戸物が壁一面に飾られた部屋なども、趣味が
いいとは思えなかった。いくつかの部屋を見学した後は例の“洞窟”
を探検するのである。

それこそ、映画であるとか写真で見た“そのまま”の地底湖が出現し
照明も様々に変化するなど、昼夜の逆転したルードヴィヒが、ここで
ワーグナーの世界に耽溺していたのかと思うと、一層不気味さが増す
ようだった。

ルードヴィヒがここにどれくらい滞在できたのか具体的にはわからな
いが、彼の性癖が病気によるものであれ自己逃避によるものであれ、
現実を見たくなかったのだろうということは容易に推測できる。

洞窟を出たところで見学は終わり。城の正面にある噴水がタイミング
よく高々と水を噴き上げていた。

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